1999年の夏休み

1999年。小学1年生。
はじめての、長い、長い、夏休みがはじまった。

ぼくは途方にくれた。
1カ月強、突然の長い休みを言い渡されても、一体何をして過ごせばいいかわからなかった。


親は仕事に行っていた為、一日中家にいなかった。姉と兄も中学の部活でほとんど家にいなかった。祖父と祖母が同居していたが、彼らは別の部屋に住み、完全に独立した生活を営んでいた。


当時は学童のような場所もなく、学校が休みともなると、どこにもいく場所がなくなってしまう。

そしてなによりも、一緒に遊ぶ友達がいなかった。




午前中は宿題をしてなんとかやり過ごすのだが、問題は午後からだった。
親の作り置きの昼飯を食べ、キッズウォーや大好き五つ子を見てから。そこからが問題。

ずっとテレビみて家でダラダラしたかったのだが、母親と祖父から「家にこもるな。外に出ろ」という理念をずっと洗脳されつづけた結果、強迫観念的に外に出るハメになっていた。

しかしながら行く当ては全くなし。
路頭に迷った挙げ句、足は無意識に、小学校へむかっていた。


夏休みの校庭はひとけがなく、ただひたすらに静かなグラウンドが広がっているばかり。

直射日光が降り注ぐ猛暑の中、ぼくは、ただひたすら、校庭をグルグル走り出した。

意味はなかった。ただ走るしかなかった。


たまたまその日、学校の草刈りをしていた数人の先生にバッタリ出会した。

先生たちは皆苦笑いしながら

「ひとりでなにしてんだー?」

と言ってきた。


それに対してなんと返事したかは忘れた。

きっと引きつった作り笑いをしていたに違いない。


夏が来ると毎年思い出す。