内容不明のベータテープをDVD化した結果

ここ数年、俺は父親が写っている映像を探していた。

父親は俺が3歳のときに亡くなっているのでほぼ記憶がない。

結婚して、子供ができて、自分自身が父親になった今、どうしても親父が生きてる頃の映像を見たいと思うようになった。

 

そんな中、昨年末に母親からあるベータテープを預かった。

内容は不明。

かつて実家には大量のビデオテープが存在したが、すべて処分されてしまった。

唯一、このビデオだけが残っていたらしい。

もしかしたら、という思いがよぎる。

この内容不明のテープに一抹の望みをかけ、業者に頼みDVD化してもらった。

 

依頼してから約1ヶ月。ようやく本日DVDが届いた。

さっそくプレーヤーで再生してみる。

 

テレビ画面には父親と母親の結婚式が映し出されていた。

 

母、祖父と祖母、親戚たち、知り合いたちが皆若い。

亡くなってしまった人たちも沢山映っている。

皆二人の結婚を祝福している。

 

そしてなにより父親が映っている。

はじめて見る、動いている父、話している父。こんな声だったのか。

死ぬまでもう一生見れないと思っていた父親をまさかこのタイミングで見れるとは思っていなかった。

思い残すことはもうない。